アンケートの自由記述をAIに渡し、「主な意見を三つにまとめて」と頼むと、短く読みやすい文章が返ってきます。ただ、その三つから外れた意見にも、利用者が困っている具体的な事情が含まれているかもしれません。報告を短くすることと、判断に必要な声を残すことを両立するために、要約の頼み方と確認方法を考えます。

多くの声を、意思決定の材料にする動き

Googleは2026年9月22日、JigsawのSensemaking AIを活用する自治体向けパートナープログラムへの支援を発表しました。住民の意見を集め、政策や公共サービスの検討に役立てる取り組みです。Sensemaking AI自体は前年に公開されたオープンソースのツール群で、今回が初登場という発表ではありません。

9月30日に公式記事を確認しました。自治体向けの参加募集であり、日本の一般企業が同じ支援を無条件で受けられるとは確認できません。以下はこの発表をきっかけにした独自の実務案です。特定ツールの性能を検証した結果ではなく、普段の文章生成AIで自由記述を整理するときにも考えられる方法を紹介します。

多数の意見と、見落としたくない意見を分けて残す

たとえばイベントの感想に「内容が良かった」という声が多く、「会場までの案内が分かりにくかった」という声が一件あったとします。全体の満足度を伝える要約には前者が中心になります。一方、次の開催で改善する点を探すなら、後者も判断材料になります。これは説明のための架空例です。

要約では「よく見られる意見」と「件数は少ないが確認したい指摘」を別の欄にします。少数だから重要だと決める必要はありませんが、頻度だけで消してしまわない構成にします。対応するかどうかは、内容と影響を読んで担当者が判断します。

頻度と重要性を分けて表示すると、強い言葉で書かれた一件を全体の傾向と取り違えることも避けやすくなります。少数意見を残すことは、その意見を多数派と同じ件数に見せることではありません。どの回答に基づく記述なのかをたどれる形にしておきます。

「賛成だが条件がある」を、賛成だけにしない

自由記述には、一つの回答の中に複数の考えが含まれます。「開催には賛成だが、平日の夜は参加できない」という文章を、単に「開催に賛成」と分類すると、参加条件が落ちてしまいます。反対に「夜は参加できない」だけを取り出すと、開催そのものに反対しているようにも読めます。

AIには、賛否の方向と、その理由・条件を分けて整理するように頼みます。文脈が足りず判断できない回答は、無理に賛成か反対へ入れず「判断保留」にします。短い文章の背後にある事情を、AIが推測で作り足していないかも確認します。

似た意見をまとめるときは、共通している部分だけを要約します。「時間を遅くしてほしい」と「週末にしてほしい」は、どちらも日程への要望ですが、同じ解決策を望んでいるとは限りません。大きな分類名の下にも、違いが分かる短い説明を残すと実務で使いやすくなります。

元の回答へ戻れる番号を付ける

回答には、氏名の代わりに管理用の番号を付けます。AIの整理結果にも該当する番号を添えてもらえば、担当者が原文へ戻れます。少数意見の欄に書かれた内容が、本当にその回答にあるのかを照合するためです。番号を付けただけで匿名化が完了するわけではないため、本文に残る個人情報も点検します。

件数を報告する場合は、回答者数なのか、言及数なのかを明確にします。一人の回答を複数のテーマへ分類すれば、テーマ別の件数合計が回答者数を超えることがあります。重複を認める集計なのかを先に決め、数値は元データと照合します。AIが書いた件数を、そのまま確定値として扱わないようにします。

共有用の報告では、原文を長く載せることで個人が推測されないかにも気を配ります。詳しい原文を閲覧できる人と、要約を読む人の範囲を分ける方法もあります。目的に必要な情報を残しながら、個人の事情をむやみに広げない形を選びます。

少量の回答で、抜けがないか試す

初回は、内容を人が読み切れる量の回答で試します。要約を作った後に、元の回答を一件ずつ見て、どこへ反映されたかを確認します。どの欄にも入らない回答があれば、単なる見落としか、分類が細かすぎるのか、意味を判断できなかったのかを分けて見直します。

次の依頼文をたたき台にできます。「以下の自由記述を整理してください。よく見られる意見、少数だが確認したい指摘、条件付きの意見、判断保留を分けてください。各項目に根拠となる回答番号を付け、原文にない理由や属性を推測しないでください。相反する意見は一つの結論へまとめず、違いを残してください。件数を示す場合は数え方を明記してください。」

出力ができたら、少数意見と判断保留を先に原文で照合し、その後に主要な分類を確認します。「AIが重要としたから採用する」ではなく、担当者が内容を読んで扱いを決めます。集めた回答が全顧客や全住民を代表しているとも限らないので、報告には対象と収集期間を添えます。

入力前には、使うAIの契約やデータの扱いを確認し、氏名や連絡先など不要な情報を取り除きます。Sensemaking AIの支援制度や個別ツールの日本での利用条件・費用・ライセンスは別途確認が必要です。まずは手元の小さなアンケートで、短い要約からこぼれた声を探す作業を加えてみましょう。

出典

発表日:2026年9月22日。確認日:2026年9月30日。公式発表の概要と、独自の整理方法・架空例を分けて記載しています。

Google:Sensemaking AIと自治体向け支援の発表

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