アンケートをAIでまとめると、「予約しにくい」「案内が分かりにくい」といった意見を一覧にできます。そこから改善案まで一気に作りたくなりますが、予約のどこで困ったのか、どの案内を見たのかは、短い回答だけでは分からない場合があります。要約した後は、分かっていない点を次の質問に変えることも、AIの使い方の一つです。今回は、自由記述を起点に追加で聞く内容を整理する方法を紹介します。

意見を整理するAIから、確認する質問へ

Google.orgとJigsawは2026年9月22日、地域の意見を政策に生かすSensemaking AIの取り組みと、新しい自治体向けの支援プログラムを紹介しました。記事では、前年に公開したオープンソースのツール群を使い、住民との大規模な対話を支援する動きが説明されています。

これは一般企業向けに新しい無料アンケートサービスが一斉に提供されたという発表ではありません。ここから先は、この取り組みをきっかけにしたANYSCAPEの実務案です。手元のAIで顧客や参加者の自由記述を整理し、不明な点を追加質問にする方法を考えます。Sensemaking AIで試して得た実績や、同ツールに質問生成機能があるという主張ではありません。

書かれていることと、まだ分からないことを分ける

練習用の回答として、「予約しようとしたが、途中で分からなくなった」を考えます。分かるのは、回答者が予約の途中で分からないと感じたことです。「入力欄が多かった」「料金表示が遅かった」「スマートフォンで操作できなかった」は、あり得る原因でも、この文章には書かれていません。

AIにはまず、回答の要点と、不明な点を別の欄に出してもらいます。原因の候補を考える場合も、回答にある事実として混ぜないようにします。元の回答番号を残せば、どの文章から質問を作ったかを確認できます。

要約だけを渡すと、元の言い回しや条件が落ちているかもしれません。追加質問を作る段階では、個人が特定されない形にした元の文章も照合します。短い一文から読み取れないものは、読み取れないまま残しておきます。

想定した原因へ誘導しない

前の例に「入力項目が多すぎて困りましたか」と聞くと、こちらが考えた原因を先に提示しています。最初は「予約のどの場面で分からなくなりましたか」と聞くほうが、回答者が自分の経験を説明しやすい質問になります。

「料金説明と予約画面は分かりやすかったですか」のように、二つのことを一つで聞くのも避けたい形です。料金は分かりやすく、画面は分かりにくかった人が答えにくくなります。調査を行うPew Research Centerの方法資料でも、複数の概念を一つで評価させる質問は、回答や解釈が難しくなると説明しています。

独自の質問案を直すときは、一問に一つの確認事項を置きます。「どの場面か」と「その場面で何が分からなかったか」を分けるなど、答えが何を指すかを明確にします。質問数が増えるので、実際に改善判断へ使うものを絞ることも大切です。

何を判断したいかを先に決める

追加質問は、気になることを全部聞くためのものではありません。「予約の説明をどこに追加するか決めたい」なら、困った場面を聞くことが役立ちます。「営業時間を変えるか決めたい」なら、予約画面の話だけでは材料が足りません。質問の目的を一行で決めてから、案を作ります。

回答形式も目的に合わせます。まず経験を知りたいなら短い自由記述、すでに確認した候補を比較したいなら選択肢、というように考えます。選択式にする場合は、候補を一つ選べば経験を説明できるのか、複数に当てはまるのかを点検します。必要に応じて「覚えていない」「当てはまらない」なども検討し、どれかの原因を必ず選ばせる形にしないようにします。

同じ人へ追加で聞くのか、次の利用者へ聞くのかも区別します。匿名の回答をした本人へ連絡できないなら、同じ人の続きの回答として扱えません。次の調査で得た意見は別の回答群として整理し、前回の原因が確定したように書かないことが必要です。

AIへ頼むときの例

次の依頼は、架空の回答を使った練習用です。実際の回答を使う場合は、氏名、連絡先、個別の事情を必要な範囲で除き、利用しているAIのデータ取り扱いを確認してください。

  • 目的:予約案内のどの箇所を見直すか判断するため、追加質問を作る。
  • 回答R01:「予約しようとしたが、途中で分からなくなった」。この文章にない原因を事実として補わない。
  • まず「書かれていること」「不明なこと」「確認する必要があること」を分け、回答番号を付けて整理する。
  • 追加質問は最大三問。一問に一つの事項を置き、特定の原因や賛否に誘導しない言葉にする。各質問で何を判断したいかも添える。
  • 質問案を点検し、答えにくい前提、曖昧な言葉、二つ以上の事項が含まれる箇所を示す。回答そのものを作らない。

配る前に、少人数で意味を確かめる

質問案ができたら、まず社内の一、二人に読んでもらいます。「何について聞かれていると思うか」「どんな答えなら書けそうか」を確認すると、作り手が意図した意味と、読む人が受け取る意味を比べられます。この確認で回答者全体への妥当性が証明されるわけではありませんが、分かりにくい言葉を直す手がかりにはなります。

AIにも別の言い方を出してもらえます。ただし、人の回答を予測させて、実際の声として集計しないようにします。質問の版と配布日を残し、途中で文言を変えた場合は、どの回答がどの質問に対応するかを分けます。

小さく試すなら、三件ほどの架空回答から一つの確認事項を選び、質問案を作って読み直すだけでも始められます。要約を結論として閉じる前に、「この回答では何が分からないか」を考えると、次に聞くことが具体的になります。AIはその整理を助ける役割として使い、質問と結果の解釈は人が確認します。

出典

確認日:2026年10月4日。新しい動きはGoogle公式発表、質問設計の基本はPew Research Centerの方法資料を参照しました。例とAIへの依頼文はANYSCAPEの活用案です。

Google:Sensemaking AIと自治体向け支援(2026年9月22日)

Pew Research Center:Writing Survey Questions

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